オーロラ鑑賞を希望する人なら、必ずと言ってもいいほど、その美しい光のカーテンを映像におさめたいと思うはず。
しかし、星空を撮影しても、星の光がカメラに収まることはないように、オーロラも普通に撮影した場合にはカメラにうつることは殆どありません。これはオーロラの光が微弱であることに起因しています。オーロラを撮影するには、基本的なカメラの知識と事前準備がとても重要になってきます。
ここでは、オーロラ撮影をするにあたって失敗しないためのコツを紹介しています。一生のなかで何度も有るわけではないオーロラ鑑賞。最高の写真を取れるように事前にしっかり準備しておくようにしましょう。
オーロラ撮影に必要機材
オーロラ撮影に特別な機材は必要ありません。(と、いっても携帯のカメラだけでは難しいですが。)
一般的なデジカメ、それにカメラを固定するための三脚、そして、寒空の下で活動可能な防寒具さえ準備できていれば、誰でも簡単に撮影ができます。
マニュアル設定出来るカメラ | オーロラを撮影するには「絞り値(F値)」「ISO感度」「シャッタースピード」を調整できるカメラが必要となります。 |
三脚 | シャッターを数秒~十数秒押し続けるため、手ブレを防ぐために三脚は必須です。 |
防寒具 | オーロラ撮影は多くの場合、外気が氷点下での撮影となることに加え、長時間待機が必要となる場合もあるので十分な防寒対策が必要となります。 |
マニュアル設定出来るカメラ
マニュアル設定できるカメラだけがあっても仕方ありません。オーロラ撮影するために必要な設定について解説します。
カメラの設定
オーロラを撮影するためには、特別なカメラは必要ないですが、オーロラの撮影に適した設定に変更する必要があります。
オーロラの光は微弱なため、自動設定のまま撮影しても、採光量が足りずに、真っ黒に写ってしまうことが大半です。
オーロラをカメラできれいに撮影しようと思ったら、レンズにしっかりと光を取り込んで上げる重要であり、そのために「絞り値」「シャッター速度」「ISO感度」の3つを適切な値に調整する必要があります。
絞り値(F値)
絞りとは、レンズから取り込む光の量を調整することを指します。
写真はレンズを通った光を一定時間フィルムに当てることで出来上がりますが、この光が強すぎる(例えば日中の明るい屋外等)と写真が真っ白になってしまいます。
そのために絞りを調整することで光の量をうまくコントロールして適正な 写真が出来上がります。
絞りはレンズについている絞り羽で調整することになりますが、この調整をF値という単位で表現します。
F値 | |
小さい | 大きい |
シャッターを開いている | シャッターが閉じている |
背景がよくボケる | 背景があまりボケない |
オーロラは光が弱いので光を十分に取り込む必要があり、 絞り値は小さめにする必要があります。
シャッター速度
シャッター速度とは、光をイメージセンサーに当てる時間のことを言います・
(シャッターボタンを押している時間と思ってください。)
撮影をするには①光を当てる時間と②光を当てる量の組み合わせで写真の出来栄えが決まるといっても過言ではないですが、①はシャッター速度で、②は絞りで調整します。
夜景モードなどの撮影の場合でも、シャッター速度はせいぜい長くて1秒程度ですが、オーロラの光を捉えようと思ったら、10~15秒程度必要となることから、マニュアル設定で撮影できるカメラが必須となります。
ISO感度
ISO感度とは、感光部が光を感じる感度のよさを数値化したものです。
光の当たり具合を調整するのに、シャッター速度が重要といいましたが、ISO感度を上げることで早いシャッター時間でも十分明るく撮影できます。
ただし、むやみに数値を大きくすればいいというほどではありません。
数値が大きいほどノイズが多くなり、画質が悪くなる傾向があるため、シャッター速度とのバランスを考慮することが重要です。
シャッター速度とISO感度の関係
F値を一定に固定した状態で、シャッタースピードとISO感度を変えて同じレイアウトで撮影してみました。
シャッター速度を長くすればするほど、またISO感度を高くすればするほど明るくなるのがわかると思います。
都市部は照明がいたるところにあるので、シャッター速度が3~5秒でも真っ白になってしまいますが、オーロラ撮影をする場所は光がほとんどないところが大半です。しっかりと光を取り込めるようにシャッター速度を長めに意識することが重要です。
F値3.5 | ISO感度400 | ISO感度1600 |
シャッター速度
3秒 |
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シャッター速度
5秒 |
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オーロラ撮影に必要な設定
さて、ここまで撮影に必要な設定項目について説明してきましたが、具体的な条件について記載したいと思います。
設定についてはオーロラの光の強さや周囲の明るさによって細かな調節が必要となるため、すべてに当てはまる設定というのはありませんが、以下の基準を参考にしてください。
オーロラの明るさ | 絞り値 | シャッタースピード | ISO感度 |
明るい | F1.4 | 2〜5秒 | ISO400 |
普通 | F1.4 | 5〜10秒 | ISO400 |
暗い | F1.4 | 10〜20秒 | ISO400 |
明るい | F2.0 | 2〜5秒 | ISO800 |
普通 | F2.0 | 5〜10秒 | ISO800 |
暗い | F2.0 | 10〜20秒 | ISO800 |
明るい | F2.8 | 2〜5秒 | ISO1600 |
普通 | F2.8 | 5〜10秒 | ISO1600 |
暗い | F2.8 | 10〜20秒 | ISO1600 |
明るい | F4.0 | 2〜5秒 | ISO3200 |
普通 | F4.0 | 5〜10秒 | ISO3200 |
暗い | F4.0 | 10〜20秒 | ISO3200 |
設定方法
主なメーカー別の設定方法についてはこちらから確認できます。
三脚
オーロラを撮影するためには三脚は必須です。
オーロラ撮影をするにはシャッター速度を遅くする(シャッターボタンを数秒間押し続ける)必要があるのですが、その間、カメラを固定する必要があります。カメラは、イメージセンサーに光を当てて映像を焼き付けるのですが、カメラが動いてしまう場合には、センサーに記録される映像がブレてしまうことになります。(これがいわゆる手ブレです。)
寒空の中、十数秒間カメラを微動だにさせずに固定し続けるのは至難の業です。オーロラ撮影にあたっては必ず三脚を準備しておくようにしましょう。
なお、管理人は三脚を持っていかなかったのですが、案の定ぶれまくった写真しか取れませんでした。
防寒具
オーロラ撮影は寒さとの戦いです。
オーロラ観測スポットに到着したからと言って、すぐにオーロラが出現してくれるとは限りません。ときには1~2時間寒空の中で待機するということもザラです。いざオーロラが出現した時に、寒くて動けないとなったら笑えません。オーロラ撮影時にシャッターを十数秒間押し続けるだけの余力を残しておくためにはも防寒対策はしっかりとしておくようにしましょう。
特に指先が動くように手袋は薄手のものと厚手のもの2重にしておくこと、また、待機時に指先を温める用にカイロを用意しておくことをオススメします。